事業案内business
富吉電気工事は、鉄道新規路線の開設に伴う新設架線工事、
そして既存路線の保守・保全に携わっています。
新設架線工事
電気鉄道網が発達した今日、新設架線工事の案件数は限られていますが、新しく路線を通すことにおいての基本は明治時代と変わりはありません。異なるのは、石炭を燃やして蒸気の力で自走する機関車に必要なのはレールだけであったことに対して、電気鉄道の場合はパンタグラフに電力を供給するトロリ線を設置する必要があることです。
新設架設工事における富吉電気工事の作業は、電柱・鉄塔の設置とトロリ線の架設です。前者は土木の範囲ではないかと思われがちですが、トロリ線を正確に架設するためには、電柱や鉄塔とのほんのわずかなズレすら許されません。また電柱・鉄塔に上りレールから5メートル以上の高所で、非常に高圧の電線を設置する作業には常に大変な危険が伴います。このため作業にあたる技術者には、多くの経験と専門知識、そして迅速な判断力が求められることになります。この分野に特化したベテラン技術者勢を擁する当社では、電柱・鉄塔の設置からトロリ線の架設までを総合的に担っています。
既存架設設備の保守・保全
高速で走行する電車のパンタグラフに常に接触するトロリ線(送電線)は長大な消耗品です。その劣化は走行する列車の本数が多いほど進行します。トロリ線は鉄道会社さまの安全基準に従って交換する必要があります。この交換作業に加えて、当社では平時からトロリ線の劣化度を厳密にチェックする検査(工事)を行って事故を未然に防止する措置も取っています。1,000メートル単位のトロリ線の交換作業は列車が運行しない夜間に行います。この作業は必ず始発の時間までに完了しなくてはなりません。安全と正確性を確保した上での時間との勝負です。厳しい作業ですが、列車の定刻運行を確実に支えることが富吉電気工事の大切な役目です。
非常時の対応
事故や災害による列車の遅延や運休が生じた場合、膨大な数の鉄道ご利用者さまの方々にご迷惑がかかり、また列車のダイヤの混乱は他のインフラにも大きな影響を及ぼします。今日の社会において、それは厄災にほかなりません。列車の運行に支障をきたす台風などの影響が予期される場合、鉄道運行を支えるプロフェッショナルを自認する富吉電気工事では、有事に備えて最低10名のスタッフが静岡県浜松市の拠点に待機しています。万が一の事態が生じた場合は高い機動力を発揮し、ホームでお困りのお客さまが一刻も早く目的地に行けるように、復旧に全力を尽くしています。富吉電気工事のチームは東日本大震災後の線路復旧作業にも参加しました。かの地での列車運行が再開されたというニュースを耳にしたときに感じた思いはまだ記憶に鮮明に残っています。